4.型取りの苦労

 いまでこそレジンキャストはガレージキットで一般的ですが、二十数年前はまだ
未知の技術でした。 当時工業高校の学生だった私は10日に1機程度のペー
スでがむしゃらに模型を作っていました。 すると毎回射出座席やフィギュアを
ディティールアップすることが煩わしくなったのです。 機械科ですから鋳造の
授業もあり、図書館でプラスチックの射出成型の専門書まで調べて本気でそれら
のパーツの製造の可能性を探っていました。 当然のことながら射出成型は素人
では無理とわかり、ハンダやロウのような低温で溶ける素材を鋳造することに
方針を変更しました。 

 まずは型取り用の素材の研究から始めました。 シリコンゴムが適していること
はわかっていましたが、型取り用のシリコンゴムが一般的に知られていなかった
ため、シリコンコーキングを試しました。 しかし、これは強烈な接着力があり原型
を取り出すことができませんでした。 そこで、原型を木工ボンドでコーティングし、
これをコーキングで充填することで解決させました。

 次に注入する素材ですが、ポリエステルレジン(情景ジオラマ用)は固まらずダメ。
ハンダは表面張力が大きく、すみずみまで流れずボツ。 結局ロウが良かったの
ですが、これは強度的に弱くミサイルなどの複製には無理がありました。 それでも
フィギュアと射出座席はキャノピーで保護されるのでけっこうイケてました。

 ところが間もなくプラキャスト(サンバロンU)と型取り用シリコンゴムが登場し、
「おお、これを待っていたんだ!」とばかりに購入し、実際に使ってみて感無量の
気分でした。 型に関するノウハウはすでにあったので高校生ながらに座席セット
やフィギュアセット、ストライクイーグル改造セット、シーハリヤー改造セットなどを
模型屋さんに置いてもらい、こずかいを稼いでいました。 地元が田舎だから需要
が少なく、原価も償却できませんでしたが良い思い出です。




              
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